小規模企業共済の契約者貸付の種類とスペックを解説!

中小企業はいざ資金が不足した時に、銀行に融資を依頼しても受け付けてもらえないケースの多いのが実態です。

そんな時に救いになるのが、中小機構(中小企業基盤整備機構)の運営する小規模企業共済の「契約者貸付」です。

毎月掛金(1,000~70,000円)を支払っている契約者が利用できる貸付であり、担保や保証人は不要です。

小規模企業共済契約者貸付の種類

小規模企業共済の契約者が利用できる貸付制度には以下の7つがあります。
①一般貸付
②緊急経営安定貸付
③傷病災害時貸付
④福祉対応貸付
⑤創業転換時・新規事業展開等貸付
⑥事業承継貸付
⑦廃業準備貸付

小規模企業共済一般貸付

一般貸付は、事業資金(運転資金や設備資金など)が必要になった時に簡単な手続きで速やかに貸付を利用できる制度です。

(1)貸付要件

一般貸付けを受けるには以下の要件を満たすことが必要です。
・貸付資格の判定時までに12ヶ月以上、掛金(前納分は含まない)を納付している。
・貸付限度額が10万円以上ある。

(2)貸付額・貸付利率

貸付額は10〜2,000万円で、貸付利率は年1.5%です。

(3)貸付期間

貸付期間は貸付額によって以下になります。
・100万円以下:12ヶ月
・105〜300万円:24ヶ月
・305〜500万円:36ヶ月
・505万円以上:60ヶ月

(4)償還方法

償還方法は貸付期間によって異なります。

・貸付期間6・12ヶ月:一括償還
利子は貸付時に一括前払い。

・貸付期間24・36・60ヶ月:6ヶ月毎の元金均等割賦償還
利子は貸付時と6ヶ月毎の返済時に6ヶ月分の前払い。

(5)借入手続き

借入を申し込む場合は、共済契約時に登録している代理店で手続きをします(登録の無い場合は商工組合中央金庫)。

小規模企業共済特別貸付

一般貸付以外の6つの貸付は「特別貸付」と言い、一般貸付の資格を取得していることが利用の前提です。

以下の項目は②~⑥までの貸付すべてに共通です。

貸付額

貸付額は50〜1,000万円ですが、掛金の範囲内(納付月数によって掛金の7〜9割)が限度です。

なお、複数の貸付を併用する場合は2,000万円が上限となります。

貸付利率

貸付利率はすべての貸付とも、年0.9%です。

貸付期間

貸付期間は貸付額によって以下になります(廃業準備貸付は除く)。
・500万円以下:36ヶ月
・505万円以上:60ヶ月

償還方法

6ヶ月毎の元金均等割賦償還です。利子は貸付時と6ヶ月毎の返済時に6ヶ月分の前払いになります(廃業準備貸付は除く)。

借入手続き

特別貸付を利用する場合は小規模共済融資課で申込を行い、審査において貸付が決定すると、中小機構から「貸付決定通知書」が送られてきます。

その通知書と必要書類等を商工中金(商工組合中央金庫)に持参して融資を受けます。

小規模企業共済緊急経営安定貸付

緊急経営安定貸付は、経営環境の変化等により一時的な売上の減少や、資金繰りの悪化があった時に事業資金としてお金借りる制度です。

緊急経営安定貸付の貸付要件

商工会や商工会議所、中小企業団体中央会等の団体から以下のいずれかの確認を受けることが必要です。
・直近3ヶ月または6ヶ月の売上高が前年同期と比べて5%以上減少し、且つ今後も減少が見込まれる。
・直近3ヶ月または6ヶ月の売上高が2年前または3年前の同期と比べて5%以上減少し、且つ前年同期に比べても減少しており、且つ今後も減少が見込まれる。
・中小機構が認める要因の影響を受けて、1ヶ月間の売上高が前年の同月に比べて急激に減少することが見込まれる。

小規模企業共済傷病災害時貸付

傷病災害時貸付は、疾病や負傷によって入院したり、火災や台風などによる被害のために安定した事業経営に支障が生じたりした場合に貸付を受けられる制度です。

なお、通常の特別貸付は貸付額の上限が1,000万円になっていますが、傷病災害時貸付だけは前年度の決算数値次第で1,000万円を超える貸付を受けられる場合があります。

傷病災害時貸付の貸付要件

以下のいずれかに該当することが必要です。
・傷病時 
疾病または負傷によって5日以上入院(退院後の通院を含め5日間)したことの証明を受けている。

・災害時①
災害救助法が適用された災害、またはこれに準ずる災害として機構が認める災害の場合、市町村の商工会、商工会議所、中小企業団体中央会から資格要件について証明を受けている。

・災害時②
一般災害の場合は罹災について市町村・消防署等から罹災証明を受けている。

傷病災害時貸付申込期間

傷病の場合は入院した日から6ヶ月以内、災害の場合は災害が発生した日から6ヶ月以内です。

小規模企業共済福祉対応貸付

福祉対応貸付は、契約者または契約者と同居する親族の福祉向上に必要な住宅改造資金や福祉機器などを購入するための資金を貸し付けてもらえる制度です。

改築や福祉機器購入予定日の6ヶ月前から申込ができます。

福祉対応貸付けの貸付要件

契約者または同居の親族が65歳以上の高齢者か身体障害者であり、身体機能低下に対応するための住居または事業所の改築、若しくは福祉機器の購入等を計画していることです(一定の条件有り)。

小規模企業共済創業転換時・新規事業展開等貸付

創業転換時・新規事業展開等貸付は、新規開業や転業、新事業展開時に必要な資金を貸し付けてもらえる制度です。

創業転換時・新規事業展開貸付の貸付要件

商工会や商工会議所、中小企業団体中央会等の団体から以下の確認を受けることが必要です。
・共済事由または準共済事由が生じている、または生じることが確実と認められる。
・新規開業、転業を行う意思を持っている。
・新規開業、転業後も小規模企業者である。
・共済金等を請求せずに、新規開業、転業後に再び共済契約者となり、前後の共済契約について掛金納付月数を通算する。
・現在の事業に加え、新たな事業分野(現事業と異なる業種)に進出する意思を持っている。
・契約者の後継者(父母や叔父などは不可)が新たに事業を開始する意思を持っている。
・後継者が現在の事業に加え、新たな事業の分野に進出する意思を持っている。

貸付金の返済

以下の場合は契約者は期限の利益を喪失し、貸付金を直ちに返済しなければならなくなります。
・貸付を受けたにも関わらず、共済事由発生後1年以内に創業、転業をしなかった。
・新たに共済契約を締結したにも関わらず、共済事由等の発生日から1年以内に掛金納付月数の通算をしなかった。
・創業、転業のため共済事由等の発生を見込んで創業転業時貸付を受けたにも関わらず、6ヶ月以内にその共済事由等が発生しなかった。
・予定日までに多角化や開業をしなかった。

創業転換時・新規事業展開等貸付の申込期間

創業、転業の場合は事由が発生してから1年以内、または事由発生予定日の6ヶ月前から申込ができ、新規事業展開等の場合は事業の多角化または新規事業開始等の予定日の6ヶ月前から申込ができます。

小規模企業共済事業承継貸付

事業承継貸付は、事業承継時に必要となる資金(事業用資産の購入資金や株式等の取得資金)の貸付を受けられる制度です。

事業承継貸付の貸付要件

商工会や商工会議所、中小企業団体中央会等の団体から以下の確認を受けることが必要です。
・個人事業の事業資産を取得した、または取得する意思があること。
・会社等の役員に就任しており、その会社等の株式等を取得した、または取得する意思があること。

なお、事業承継予定日までに事業承継をしなかった場合、契約者は直ちに貸付金を返済しなければなりません。

小規模企業共済廃業準備貸付

廃業準備貸付は、個人事業主が事業を廃止するか、会社を解散する際に手続を円滑に進めるために必要な資金を借りられる制度です。

廃業準備貸付の貸付要件

中小機構に対して1年以内に以下の計画を実施する旨を申告し、確認を受けなければなりません。
・個人事業主:廃業届の提出計画(複数の事業が有る場合は全ての事業)
・会社役員:共済加入に関わる法人の解散計画

なお、予定日までに廃業や解散をしなかった場合、契約者は直ちに貸付金を返済しなければなりません。

貸付期間:12ヶ月

償還方法

一括償還、利子は貸付時の一括前払いとなっているため、貸付金額から利子を引いた金額が振り込まれます。

ちなみに、契約者が計画通りに廃業した後、共済金の給付請求をした場合、貸付金を控除された金額が共済金として支給されます。

契約者貸付を利用するには貸付金額に応じた収入印紙が必要です。

例えば、55~100万円は1,000円、105~500万円は2,000円、505~1,000万円は1万円の印紙を用意します。

なお、すべての貸付において延滞があると、年14.6%の延滞利子が発生します。

ところで、借入の申込をする場合に、商工中金で申し込むと当日の貸付が可能ですが(午後2時受付まで)、他の金融機関の場合は申込から2〜3日掛かることがあります。

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